彼もこの状況にドキドキしているんだ……私だけじゃないんだ……と思ったら、不謹慎だけれど少し嬉しかった。


「そう言えば、松永と何かあった?」

またしても不意にそんなことを聞かれ、今度はギクリとする。
さっきの女の子みたく、篠原君にも何か誤解されてるんじゃないか、って。


「な、何かって?」

「最近、二人ともよそよそしかったから。かと思えば、急に話すようになるし、松永は機嫌良いし」


ああ、そういうことか。誤解されてる訳じゃないのかって思ったら安心したけれど。


「……やっぱり仲良いんだな、お前達」

ぽつりとそう呟かれ、やっぱり誤解されてることに気付く。


「あ、あの、違うの。仲良いのはまあ、友達としてで、そう、友達に戻ったの」

「え?」

「こ、告白されてたの、改めてしっかりと断ったの!」


自分の気持ちをちゃんと伝えたくて、かなりつっかえつっかえになってしまったけれど、口にした。
自分の気持ちを口にするって、凄く恥ずかしい。
しかも、ちゃんと伝わったか自信がない。



「そうか」


篠原君からの返事は、その一言のみ。やっぱり、上手く伝わらなかった? そもそももしかして、そんなに興味ない?

そう不安になったけれど……。



彼の顔に目を向けると、目は合わなかったけれど、小さく笑ってた。何だか、嬉しそうに。


きっと、伝わったね。




その後、閉じ込められてから一時間もしないうちに、用務員さんの気配を感じた。

用具入れの内側からドンドンと扉を叩くと用務員さんが気付いてくれて、私達は外へと出ることが出来た。