部活中も、教室でも、松永君は私と話そうとはしなかった。
それどころか、目を合わそうともしてこない。
それに比例するかのように、私も篠原君と話すことに罪悪感に近い感覚を覚えてしまい、いつしか休み時間の度に教室の外に出て一人で過ごすようになっていた。
ある日の昼休み、香が一緒にお弁当を食べようと教室まで来てくれた。
中庭のベンチで二人でお弁当を広げていると、「みずほ、最近暗くない?」と香が心配そうに顔を覗き込んでくれた。
松永君とのこと、まだ香にも話していなかったけれど、香なら親身に相談に乗ってくれることは間違いないと思い「実は……」と悩みを打ち明けた。
「付き合うか、口を聞かないか⁉︎ 何それ! 酷ーい!」
大きな声で怒ってくれる香に「う、うん。でもちょっと声大きいかな」と伝えると、香も声の音量を下げてくれる。
「でも、そんな二択ほんとに酷い! みずほが優しいの分かっててそんなこと言ってくるから余計に腹が立つ!」
「……私は優しくなんかないよ」
「え?」
「だって、松永君のこと凄く傷付けたし」
明るい笑顔でいつと笑ってる松永君。
そんな彼のあんなに辛そうな表情は初めて見たし、そんな顔にさせたのは私だ。
「それは仕方ないじゃない。篠原と会ったのは偶然だったんでしょ?」
「でも、松永君の気持ちに気付かずに、何かあったかなんて無神経なことを聞いてしまったの」
「それだってみずほの優しさじゃん。みずほは悪くないよ。
こうなったらもう、松永とは口を聞かない方を選択するしかないんじゃない?」
「え?」
それどころか、目を合わそうともしてこない。
それに比例するかのように、私も篠原君と話すことに罪悪感に近い感覚を覚えてしまい、いつしか休み時間の度に教室の外に出て一人で過ごすようになっていた。
ある日の昼休み、香が一緒にお弁当を食べようと教室まで来てくれた。
中庭のベンチで二人でお弁当を広げていると、「みずほ、最近暗くない?」と香が心配そうに顔を覗き込んでくれた。
松永君とのこと、まだ香にも話していなかったけれど、香なら親身に相談に乗ってくれることは間違いないと思い「実は……」と悩みを打ち明けた。
「付き合うか、口を聞かないか⁉︎ 何それ! 酷ーい!」
大きな声で怒ってくれる香に「う、うん。でもちょっと声大きいかな」と伝えると、香も声の音量を下げてくれる。
「でも、そんな二択ほんとに酷い! みずほが優しいの分かっててそんなこと言ってくるから余計に腹が立つ!」
「……私は優しくなんかないよ」
「え?」
「だって、松永君のこと凄く傷付けたし」
明るい笑顔でいつと笑ってる松永君。
そんな彼のあんなに辛そうな表情は初めて見たし、そんな顔にさせたのは私だ。
「それは仕方ないじゃない。篠原と会ったのは偶然だったんでしょ?」
「でも、松永君の気持ちに気付かずに、何かあったかなんて無神経なことを聞いてしまったの」
「それだってみずほの優しさじゃん。みずほは悪くないよ。
こうなったらもう、松永とは口を聞かない方を選択するしかないんじゃない?」
「え?」