「っ、おい、松永!」

「口出すなって」

「……っ」


無言になりながらも、松永君を睨み付ける篠原君。
え、何? この空気?


しかし松永君は特に気にする様子もなく、話を続ける。


「俺も篠原も、早速バスケ部入って練習始めてんだけど、マネージャーが足りないらしくて先輩達が困ってたんだよね。だから良かったら、桜井さんどうかな?」

「えっと……」


そっか、マネージャー足りないのは何かと大変だよね……。
でも……。


「私、バスケは細かいルールとかあんまり分からなくて……」

「大丈夫、大丈夫! やってくうちに覚えていくよ!」

「うーん……」

「もう一人のマネージャーは女の先輩だし! それに、女バスと体育館合同で使ってるから、女バスの子達と友達になれるかもよ?」

「え?」

「このクラスは桜井さん以外に女子がいないから、高校で女の子の友達作り辛いでしょ? 男バスと女バスで飯食いに行くこともあるみたいだし、たくさん女の子の友達出来ると思うよ!」


その言葉に……私の心がかなり揺さぶられた。

高校で……女の子の友達が出来る……。


部活に入るつもりは正直なかったけれど……確かに、部活に入れば友達が出来るかもしれない。

バスケの経験はないけれど、中学でも帰宅部だった私がいきなり運動部のマネージャーだなんて緊張するけれど……勇気、出してみようかな。



「……うん。やって、みようかな」