本屋に着いて、驚いてしまった。
買い物をしていたら、バッタリ篠原君に会ったからだ。
「しっ、篠原君も、本を買いに来たの?」
「ああ」
そりゃあ、本屋なんだから本を買いに来たんだろって感じだ。思わず緊張して変なことを聞いてしまった。
……って、私、それより更に変な格好してるじゃん! こんなことなら着替えてくれば良かった!
なんて今更後悔しても遅い訳で。せめて、バサバサの髪をちゃんと整えてきただけでもマシだったと思おう。
「じゃ、じゃあ私は本買って、これで帰るね」
これ以上醜態を晒す前に彼にはそう告げた。せっかく会えたのだからもっと一緒にいたい気はするけれど、明日から学校で毎日顔を合わす訳だし。
しかし、彼に背を向けようとしたその時。
「……途中まで一緒に帰ろ」
ぽつりと。でも確かにそう言われ、思わず彼を凝視してしまう。
「……嫌なら別に断ってくれていいけど」
「いっ、嫌じゃないよ!」
嫌な訳がない。
いや、欲を言えばこんなダサい格好をしていない時の方がいいけれど、それ以上にラッキーだと思った。
そんな訳で、それぞれ目的の本を購入し、一緒に店を出た。