篠原君は、やや戸惑った様子ながらも、その席でパンを食べ始めた。


「桜井さん。こいつ、篠原梓(しのはらあずさ)。俺と中学一緒で、同じバスケ部だったんだ。ちなみに高校でも俺らバスケ部!」

「そうなんだ……!」


中学の時からのお友達なんだ。
そして、バスケ部かぁ。確かに二人とも背が高い。

視線を篠原君へちらっと移すと、目が合ってしまった。
……でもすぐに逸らしてしまった。感じ悪かったよね……。


……篠原君は、松永君とは違うタイプ。
髪は黒くて、短髪。
身に付けているアクセサリーは一切なし。
さっきから黙々とパンを食べているし、恐らく性格も、どちらかと言えばクールで無口なタイプなのだろう。

……でも、篠原君も松永君に負けないくらい、かっこいい顔をしている。


私はもう一度、恐る恐る篠原君の顔を見つめる。

ぱっちりとした二重の瞳に、綺麗に形の整った眉。筋の通った鼻に、薄い唇……。
篠原君も、女の子にモテモテだろうなぁ。



「……何」

まじまじと顔を見つめていたのが篠原君に気付かれ、怪訝な表情を向けられる。


「ご、ごめんなさいっ!」

「おい篠原ー、女の子にはもっと優しくしろってー」

「いや、別に怒った訳じゃ……」

「まあ、いいや。ところで桜井さん、部活は決めた? もしまだ決まってないようなら、バスケ部のマネージャーやってくれない?」

「え?」


マネー、ジャー?