ー翔sideーー


…と、いうわけで、実の妹に片想いしちゃってる、そんな妹の男友達と2人きりになってしまったわけだけど。

でもまあ、俺的にはこのツーショを狙っていたんだわ、飛鳥ナイス。

水族館にデート(仮)をした後、確かに貴哉は独り言で「好きだなぁ」と言っていた。
きっと飛鳥本人には、ハッキリ言えていないんだろう。

だったら、俺が背中押してやろうじゃないの!

…と、思っていたからだ。

飛鳥は確実に、女子としてよりは人として男に好かれるタイプだ。そこに貴哉が現れた。

俺の独断と偏見も絶対あるけれど、貴哉なら飛鳥のことを傷付けないだろう。
守ってくれるだろう。

で、そんな貴哉は俺の方には目を向けず、何となく“どうしよう…”という空気が伝わってくる。


「なあ、貴哉」


そう声をかけると、掃除機に尻尾を吸われかけた猫みたいな反応を示す。


「何だよー、その可愛い反応はー!」

「声かけてくるとも、ましてや呼び捨てされるとは思ってなかったから…」


何だ、やたら緊張してんな。


「いやー、飛鳥がよくお前のこと話してるから、なんか覚えちゃったんだよな」

「飛鳥ちゃん、俺のことそんなに話してるんですか?」

「うーん、半ば俺が聞き出してるのもあるけど。他の男友達よりも情報が入ってるな、俺の所に」


貴哉は隠しきれない笑みを浮かべちゃってる。