「それで、何がそんな恥ずかしいの?」
「え…別に、恥ずかしいっていうか…」
「独り言のやつだろ、俺に聞かれて」
「や、やめて…」
翔はニヤニヤと意地悪ぅーな笑みを浮かべてきた。
「うわ、嫌な奴!貴哉くんの私に対する好感下がるからやめたげて?」
「はいはい」
翔は貴哉くんの反応をしばし堪能したようで。
私らの前をのんびり歩き出す。
「飛鳥ちゃんのお兄さん、やっぱ面白い人だね」
「やっぱ?」
「飛鳥ちゃんも、色々ツッコミ所満載で面白いじゃん。遺伝を感じる」
へえー、私面白いんだ?
確かに普通の女子よりかは、男子とつるむ機会が多いからなぁ。おかげで感覚はズレてるのかもしれない。
…ん?ツッコミ所満載?
「あとさ、翔さんカッコイイよね…ホントに」
「やっぱ一目惚れしちゃってるじゃん」
「そうじゃなくて!」
相変わらず全力で否定しますね?
「飛鳥ちゃんの年上彼氏に見えてしょうがない、と言いますか…」
「えー?…うーん、まあ他の兄妹よりかは距離近いかもね」
「そのせいもあるかもね。でもなんか、飛鳥ちゃんと横に並んでて、お似合いだなーってなる」
「何じゃそりゃ」
なんか今日の貴哉くんは歯切れが悪い。
夏祭り会場に着くと、屋台が沢山あって、いかにも夏祭り!って感じだ。