「飛鳥ー、1ついいっすか、水を差すようなこと言っても」


翔さんが入ってきた。


「お前来年受験生だべ。そんな悠長に遊んでらんなくね?」

「受験生も遊びに行きたいよ…」


あぁ…そうか、俺より1個上だから…。


「いや、てか!私は推薦取るから、受験なんかしないもん!頑張ってるもん!」

「ああ…そうですか」


大学受験か…。高校受験から半年も経ってない俺からすれば、まだ先に感じるなぁ。


「あ、駅着いちゃったね」

「着いちゃったって何ー?」


飛鳥ちゃんは楽しそうに笑う。


「じゃ、またねー!」

「バイバイ、気を付けてね」

「気を付けないといけないのは翔です、こっちに言ってください」


あ、そっか。バイクか。


「翔さん」

「うおっ、本当にこっちに言ってきた」

「飛鳥ちゃんのこと事故に遭わせたら、ただじゃおかない、です」

「こんな圧のある敬体の文章言われるの初めてだなぁ…」


本当に、ただじゃおかない。

…なんて、ねっ。


「それじゃ!」


俺は2人に背を向けて改札をくぐった。