「で、花火どこで見るの?」
「土手っぺり行こうかなって思ってるけど」
土手っぺり。
3人でのんびり土手に向かう。
「わあ…人いっぱい」
「そらそうだろな」
俺の呟きに、翔さんが軽く言ってくる。
「はぐれちゃダメだよ?」
「うん」
飛鳥ちゃんがコクリと頷く。
「いや…うん、じゃなくて」
「え?」
「もし何だったら、その…」
手繋ぐ?
…なんて、そんな天才ナンパ師みたいなことは言えないのですが。
え?天才ナンパ師なら、もっと凄い言葉言えるって…?
「何?」
「人の波に流されそうになったら、もうっ、遠慮無しにどこでも掴んでね!」
「どうしたの、そんな気合い入れて言うことでもないのに」
飛鳥ちゃんにはキョトンとされましたが。
「まあ、ありがとう」
お礼は言ってくれるんですね?そういえば…。
「さっき佐倉くんっぽいって言ってたやつ!もし好きかもなら、佐倉くんにあげる?」
「…もはや、佐倉を強烈なナルシストにしようプロジェクトじゃない?それ」
「そんなに似てる?!」
「もう、1回佐倉に見えたら、佐倉にしか見えないかな…」
「じゃあ飛鳥ちゃんいる…?」
「それはそれで、佐倉愛がえげつない人になるんだよね、私が」
「それはダメだね」
うん、十羽愛がえげつなくなってほしい。
…何を俺は真面目な顔して言ってるんだ。