パシュっという気持ち良い音と共に、ストラップに直撃して下に落ちる。
「やった」
緊張を解いたのは、撃ち落とした張本人だ。
屋台のおじさんは、
「ほえー…ああ、これ景品…」
ヨーグルトの栄養たっぷりな汁の名前を言いながら、貴哉くんにそのストラップを手渡した。
多分本当なら、最後にまとめて渡すんだろうけど、おじさん動揺しちゃって渡しちゃったよ。
「あと4回撃てますよね?」
「そうだね…頑張って…」
おじさん、もうどうにでもなれって顔したね。
2回目は何故か外し、3回目と4回目でお菓子2つと、5回目にはアニメのイケメンキャラクターのデフォルメぬいぐるみストラップを撃ち落とす。
しかも何、特に間も空けずにパンパン撃っていく。
「ありがとうございましたー!」
貴哉くんは良い笑顔で受け取った。
「はいっ、これでしょ?」
最初に撃ち落とした赤ずきんちゃんのストラップを手渡してきた。
「あっ…うん、ありがと」
貴哉くんは楽しそうに笑った。
「前世は凄腕のスナイパーか何か?」
「毎年友達と地元の夏祭りとかで射的はやってたから、それで上手いのかも」
なるほどね。だけどなー、解せないなー。
「ちょっと、貴哉くんらしくない!」
「はっ!?」
彼は反論したいんだろう、不満タラタラな雰囲気。
「私の知ってる貴哉くんは、1回や2回外してから撃ち落とす!」
「あ、でも結局撃ち落とすんだ、俺」
「キメる時はキメるでしょ」
「…うん!」