だけど、これ以上長居をしたらママに怒られてしまう。

 8歳の私にとって、ママの命令は絶対なのである。


「もう、帰るわよほら」


 彼と別れて、ママの方に駆け寄ると、半ば呆れたように言われた。

 彼女の傍らにいるパパは苦笑を浮かべている。


「お友達と一緒に、流れ星は見られたかい?  紗良」

「ううん。ひとつも見られなかった!」

「あら、でもやけに元気ねえ」

「ふふ、いいの」


 流れ星を見ることをすごく楽しみにしていたにも関わらず、見られなかったという私がニヤニヤしているからか、両親は不思議そうな表情をして顔を見合わせた。

 いいんだもん、見られなくても。

 だってまた、八年後に見るんだから。

 彼と一緒に、この場所で、友情の証を持って。

 そう、彼と……って、あれ?

 そういえば、あの子どこの子だろう?

 学校では見た事がないから、きっと違う小学校だよね。

 名前なんて言うんだっけ?

 そういえば聞くのを忘れていた。