いや、でもまさかそんなこと言わないよね。


「ち、違う! 今日友達になった証だ! ほら!」


 急に声を張り上げて、何かを誤魔化すように彼は言った。

 違うって何が違うんだろう。

 それに、さっき聞こえなかった言葉が気になったけど、まあいいか。

 友達の証だって、すごく嬉しいし。


「わーい! ありがとう!」


 私は満面の笑みを浮かべて、黒猫のキーホルダーを受け取った。

 いつの間にか涙は止まっていた。

 だけど、友達の証を渡された私は、彼にも同じようなものをあげたいと思った。

 私だって、彼を友達だって既に思っているのだから。

 うーん。何かあげるものあげるもの……。あ! そうだ!


「じゃあ私はこれをあげる! 友達になった証に!」


 持っていたピンクのバッグに付けていた黒猫のキーホルダーを外して、彼に差し出す。

 私が持っていたのは、猫がちょこんと座っているポーズで、かわいらしい瞳が描かれているタイプの物だ。


「あ、なんだ。同じシリーズの持ってたんだ」