男の子にそう言って私は植え込みの方へと駆け出す。

 しかし、走っている途中でつまずいて転んでしまった。

 膝をすりむいてしまって、少し痛かったけれど、気を取り直して立ち上がり、植え込みへと向かった。

 そして、葉っぱや枝をかき分けながら、額帯鏡を捜し始めた。

 ――しばらく捜していたら。


「あ!」


 枝をかき分けた時に、木の根元の方の地面がきらりと一瞬銀色に光ったのを、私は見逃さなかった。

 腕を伸ばして必死にそれを取ろうとするも、枝が邪魔をしてなかなか届かない。

 だけど腕をちくちくと枝で刺されながらも、なんとかそれの端を掴んだ。

 そして、私が手を手繰り寄せて取ったそれは、彼の言っていた丸く銀色の額帯鏡だった。


「あったよー!」


 嬉しくなって、少し離れたところで額帯鏡の捜索していた彼の方へと私は駆け出した。

 彼は驚いたように目を見開いて、私を見た。


「見つけてくれたの? ありがとう!」