言われて、よく行く小児科のぶっきらぼうな医者を思い出す。

 確かに、丸い銀色の物をいつも額につけていた。


「ああ、あれね! 分かった!」


 捜し物が何なのかを把握した私は、その場で彼と一緒になって額帯鏡とかいう物の捜索を始める。

 それにしても、なんでお医者さんの道具がこの子にとって大事な物なんだろう?とちょっと思ったけど、彼があまりにも熱心に捜しているから、とりあえず手伝うことにした。

 だけど、ふたりで結構頑張って探したのに、なかなか見つからなかった。


「この辺には無いみたいだねえ……」

「うーん。この公園に来てから落としたのは、間違いないんだけど」


 男の子は考え込むような表情で言った。

 私たちの周囲の芝の上は大方捜したから、違う場所にありそうだ。

 ふと辺りを見渡したら、背の低い木が整然と並んだ植え込みが目に入ってきた。

 そういえば、あの辺はまだ探してなかったと思う。


「私、あっちの木の方見てくるね!」