「はぁ? 何言ってんだよ、紗良。紗良が俺の足を引っ張ってるなんて、そんなことないから。むしろその逆だよ。それに俺たちのことよく知らない奴らがなんか言っていたとしても、どうでもいいことだし」


 光雅くんは呆れたような顔をした。


「逆って……?」

「紗良が俺のことを避けるようになってから受けた塾の模試、今までで一番悪かった。まあそれでも一応、志望校は合格圏内だったけどさ。紗良のことが気になって手がつかなかったんだよ。紗良が俺から離れようとしたから、俺はダメになったってわけ」


 珍しく、からかうような口調で光雅くんが言う。

 ――え? 私が光雅くんに冷たくしたら、成績が下がっちゃってこと?

 そんなの、私がやろうとしていたことが逆効果になってるってことじゃない⁉


「で、でも! この前の定期テストの点数、光雅くん悪かったって……。ごめん、先生と話していたの聞こえちゃったんだ。私が光雅くんに勉強教えてもらったせいで、勉強時間なくなっちゃったからでしょう?」