「え……?」


 理解がいまだに追い付かず、私は呆けた顔をする。


「俺は人生で二回目の一目ぼれをしたんだ。二回とも、同じ女の子に」


 まっすぐと私に視線を向け、彼はゆっくりとそう言った。

 じわじわと、温かい幸福感がお腹の底から湧き上がってきた。


「好きだよ、紗良。俺はずっと、紗良が好きだ。紗良しか好きじゃない。ずっと紗良しか見えてない」


 私の瞳に視線を重ねたまま、はっきりと光雅くんが言う。

 ――私も。

 私だって。

 私の方が。

 光雅くんのことが好き。

 光雅くんしか、見えてない。

 ずっとずっと、八年間ひと時も忘れたことなんてない。

 そう言いたい衝動に駆られた。

 だけど、瞬時に自分の立場を思い出した私は、暗澹たる気持ちになってしまった。