「もうひとつの理由?」

「八年前の願い、叶えてくれねーのかよって」


 空に向かって、ぶっきらぼうな口調で光雅くんが言う。

 八年前、彼が何を流れ星に願ったのか私は知らない。

 あの時尋ねたけど「内緒」と彼は言って教えてくれなかったことを思い出す。

 きっとお医者さんになれますようにとか、そういった類の願いだろうなあって勝手に思っていたけど。

 私が首を傾げていると、光雅くんは私に向き直った。

 そしてゆっくりとはっきりと、こう言った。


「『この女の子とまた会えますように。仲良くなれますように』。あの時俺は、星にそう願ったんだよ」


 流れ星が一気に三つくらい、夜空を駆けたのが見えた。


「なんで……そんなこと……」


 あまりに信じられなくて、声が途切れ途切れになってしまう。


「ここまで言ってもわかんない? 俺はずっと紗良のことが好きなんだよ。紗良のことしか見えてないんだよ。八年前も今も。ずっと。再会した瞬間、もう昔のことなんて夢だろうが現実だろうがもうどっちでもいいって思えた。紗良に会った瞬間に、なんでもいいから振り向かせてやるって思った。だから彼氏がいるのかってすぐに聞いたんだ」