「紗良や芽衣ちゃんの話を聞いて夢じゃないことはすぐに分かったよ。でもさ、紗良があの時の男が俺だって全然気づいてなかったみたいだったから。目の前にいるっていうのにさ。だからちょっと意地悪してやりたくなった。キーホルダーだって、昔すごく流行ったやつだから、俺があげたやつじゃないのかもって思えてさ」

「えー! そうだったの⁉ 私だって光雅くんがあの時の男の子だって、すぐに気づいたのに!」


 私の言葉に驚いたように目を見開く光雅くん。


「え、マジ? それならなんですぐに言ってくれなかったの?」

「だって、光雅くんは忘れてるんだって思って……。覚えていない人に『八年前に流れ星をもう一度見ようって約束した女の子です』なんて言ったら、気味悪がられるんじゃないっかって」

「……うわ。そうすると俺たちすげえ回りくどいことしてたんだな」


 本当にその通りだ。

 どっちかが勇気を出して素直に「あの時会ったよね?」と言っていれば、私たちはもっと早く感動の再会をすることができたのに。


「俺が今日ここに来たのはさ。紗良と交わした約束を果たすためと、もうひとつ理由があったんだ」