ますます光雅くんは私にあまり話しかけなくなった。

 芽衣や良悟くんと一緒にいる時は、当たり障りのない感じで会話はしてくれたけど、ふたりでは用事がない限り話すことはほとんどなかった。

 これでいいんだ、と。私は心に強く刻み込む。

 深い場所に潜んでいる悲しみに重い蓋をして。

 8年前の出来事は。光雅くんと一緒に、肩を並べて流れ星を探した時のことは。

 きっと、ただの夢だったんだ。

 だって、光雅くんはその時のことを覚えてはいない。

 そして、私は彼を好きになってはいけない存在。

 神様がたった一度だけ、平凡な私に夢を見させてくれた。

 きっと、それだけのことだったんだ。

 私はどうしても沈下してくれない恋の炎を、そう思うことによって鎮めようとしていた。

 そうして何日かが過ぎ、体育祭の日まであと三日に迫った日のことだった。

 放課後、自分の席で帰りの支度をする私。

 今日も芽衣は部活のはずだから、ひとりで帰る予定だ。

 隣の席の彼は、すでに帰宅したようで鞄はなかった。