「手伝うってほどのことはしてないけど」

「ううん、すごく助かったよ」
 
「そっか。怪我した足は大丈夫?」

「うん。色は変になっちゃってるけど、たいしたことないよ」


 ちょっと痛いけど、歩くのには特に支障はない。

 体育祭のバレーボールも、無事に出場できるだろう。

 と、私が笑みを浮かべて答えると。


「なあ、紗良」


 光雅くんが真顔になり、私にまっすぐと視線を重ねてきた。

 突然の刺すような眼差しに、私は一歩後ずさってしまった。


「何……?」


 恐る恐る言った。

 何を言われるのだろう。

 最近の私の態度についてだろうか。

 それとも、この前良悟くんに聞かれた「光雅くんと良悟くんどっちが好きか」という問題についてだろうか。

 どちらにしろ、うまく答えられる自信はない。

 私は冷や汗をかいた。


「紗良って良悟と仲いいよな」


 聞かれたのは、想像していた質問ではなかった。