私はボールを抱えたまま、その場で立ちつくしてしまった。

 視線を落とし、傷だらけの体育館の床を眺める。

 今の私にぴったりの、ボロボロの床に。

 でも本当に、あの子たちの言っている通りだと思う。

 私は光雅くんに、迷惑をかけてばかり。

 何ひとつ彼には与えられていないくせに。

 ーーなんて無力でちっぽけなんだろう、私って。

 そんな暗澹たる気持ちになり、唇をかみ締めた時だった。


「迷惑とか、釣り合ってるとか。そんなの俺が決めることじゃん」


 傍らから、そんな強く優しい声が聞こえてきた。

 虚をつかれて顔を上げると、光雅くんが目を細めて、鋭い視線を高崎さんと中村さんの方へと向けていた。


「周りが勝手な事言ってんじゃねえよ」


 低い声で光雅くんはさらに続けた。

 高崎さんと中村さんは、最初はあっけに取られたような顔をしていたが、彼が怒っていることに気づくと、みるみるうちに青ざめていった。


「や、やばっ……。ね、もう行こ!」

「う、うん」