「でも、たくさんボールあるよ。光雅くん大変じゃない?」

「あー。じゃあ紗良は近くのボールだけ集めてよ。遠くに飛んでったのは俺が持ってくるから」


 そう言うと、また私の返事も待たずにボールを集めに行ってしまう光雅くん。

 彼の優しさに心苦しくなりながらも、確かに膝は痛むので、言われた通りに私は近くに落ちていたボールを抱えた。

 ーーすると。


「あの子、まーた光雅くんに迷惑かけてるし。なんなの、もう」

「ほんと、いい加減にしてほしいよねー。釣り合ってないくせにさあ。自分でわからないのかなあ」


 聞こえてきた声にはっとして、思わず声の主の方を向いてしまう私。

 高崎さんと中村さんは、眉間に皺を寄せて私の方を不快そうに眺めていた。

 聞こえないと思っているのかな。

 それとも、聞こえるように言ったのかな。

 恐らく後者だろう。

 だって、彼女らはあからさまに私に敵意に満ちた視線を浴びせていたから。