あーあ。みんな見てるよ、高崎さんも中村さんも。

 もしかしてまた私のことを何か話すかもな……。

 恥ずかしいな。

 なんて、暗いことを思っていると。


「ボール、散らばっちゃったな。集めてくるよ」

「えっ」


 いいよ、大丈夫だから。

 と、私は言いかけたのだけど、光雅くんは私の返事を待たずにボールを回収しに行ってしまった。

 そして、長い腕でいくつもボールを抱えて、すぐに戻ってきた。


「光雅くん、ありがとう。あとは私がやるから……」

「いやいや、膝青くなってんじゃん。さっきコケたとこだろ? 俺が全部拾ってくるから、紗良はおとなしくしてろって」


 遠慮して私が言うと、光雅くんは私の膝あたりを眺めながら、しかめ面をしてそう言った。

 改めて自分の怪我を見てみると、痛々しく青紫になっていた。

 確かにじんじんと痛みが伝わってくる。

 だけど、私が勝手にやらかしたわけだし、光雅くんに全てを任せるなんてとんでもないことだ。