その上、せっかく集めたバレーボールが散り散りに転がってしまった。

 またひとりで回収しなければならない。

 その上、怪我までしてしまった。

 私、何やってるんだろう。本当にダメだな……。

 自分自身にがっかりしながら、私は膝の鈍痛を堪えて立ち上がる。

 ーーすると。


「紗良! 大丈夫?」


 光雅くんが、珍しく慌てた様子で私の方へと駆け寄ってきた。


「――光雅くん。うん。大丈夫だよ。たいした怪我はしてないし」


 突然の彼の接近にうろたえながらも、笑みを作ってなんとか答える。

 転んだから心配してくれているのかな。

 私、光雅くんを避けるようなことばかりしていたのに。

 こんな私に、どうしてあなたは優しくできるのだろう。


「この辺の床、少し窪んでるんだよな。たぶんそれに引っかかったんだろうね」

「そうだったんだ……。知らなかった」


 光雅くんに言われて辺りの床を見てみると、確かに少しデコボコしていた。

 それにしてもこんなに豪快にコケるなんて、みっともない。