私は散らばっていたバレーボールをかごの中に入れ、ネットをきれいに畳んでその上に乗せた。

 そして足にローラーがついているボールかごを、体重をかけて押していく。

 体育倉庫にしまわなければならないのだが、私の位置からは結構距離があった。

 途中、バスケットボールの練習を終えた男子たちとすれ違う。

 もちろん光雅くんの姿もあったけれど、ボールかごに目を落として私は気が付かないふりをした。

 ーーその時だった。


「きゃっ」


 かごの足についたローラーが何かに引っかかり、大きく傾いて倒れそうになった。

 咄嗟に腕に力を込めて、かごを支える。

 しかし、バレーボールがたくさん入ったかごは思った以上に重くて、私の力では支えきれなかった。

 私はボールかごごとその場に倒れてしまった。


「いたた……」


 膝を体育館の床に強打してしまい、鈍い痛みが走った。

 膝を見てみると少し赤く腫れていた。あとで青あざになってしまうかもしれない。