「紗良じゃないけどさ、確かに光雅くんに憧れちゃうって気持ちわかるなあ。付き合うっていうよりは、遠くから見てキャーキャー言いたい感じ」

「だよね」


 本当に芽衣の言う通りだと思う。

 芸能人やモデルに対するように、一ファンとして声援をあげるくらいの方が、気楽で楽しいのではないか。

 頭ではそう思うのに、下手に昔出会って本気の恋をしてしまったから、なかなかこの想いは消えてくれないのだった。

 そんなことをモヤモヤずっと考えながら、体育の授業が終わった。


「あ、私今日体育の当番だった。片付けてから戻るから、芽衣は先に教室に戻っててくれる?」


 一緒に教室に戻ろうとする芽衣にそう告げると、彼女は「そうなんだ。わかった!」と言って小走りで体育館から出ていってしまった。

 芽衣は美意識が高いから、運動で乱れたヘアスタイルやメイクを休み時間の間に急いで戻しておきたいのだろう。

 体育館には、まだ何人かの女子がダラダラとだべっていた。

 その中には高崎さんと中村さんの姿もある。

 なんとなくやりづらいなあという気分になったが、とりあえずバレーボールやネットを片付けよう。