ドリブルをしているにも関わらず、その素早さには誰も追いつけない。

 そしてゴールの近くまで行くと、そのままシュートフォームに入った。

 パサッというゴールネットの音が、微かに聞こえてきた。


「やりぃ! スリーポイント!」

「光雅ナイス!」
 

 光雅くんと同じチームの男子たちが、彼に次々とハイタッチをしていく。

 光雅くんは大袈裟に喜んだりはしなかったけれど、はにかんだ笑みを浮かべながらみんなと手を合わせていた。


「勉強も得意で運動神経もいいとか。反則じゃなーい?」


 その光景を見ていたらしい芽衣が、ふざけ半分といった口調で言った。


「ですよねー」


 私も苦笑いになって答える。

 本当に、反則レベルのかっこよさだ。

 休憩中のほかの女子が溜まっている場所からも、光雅くんがシュートを決めたタイミングで黄色い声が聞こえてきた。

 彼がかっこよければかっこいいほど、私の恋心はまた大きくなってしまう。

 それと同時に、やっぱりあんな完璧な人、私とは釣り合わないと思い知らされてしまうのだ。