「まあ、加護といっても、全員に全力で与える訳では無いがな。時と場合、人間性にもよる。そして、それぞれの願いに合わせた神が、加護を与えるのだ。

神の休憩所である頂上は、人が少なく神は多い。加護を受ける可能性も高くなるということだ」



いつになく真剣に、色々と教えてくれる神様。
遠くを眺めている横顔は、おじさんの前とは打って変わって大人びた顔つきだった。


「さて、ゆっくり話でもするか」


優しく私に微笑みかけ、ザクザクと砂利の上を歩き、ベンチへと向かっていく。


「え、飲食店は?」


私がそう聞いても、神様は微笑み返すだけだった。

なんだろう、この胸騒ぎは。神様の話が怖い。嫌だ、聞きたくない。


神様はベンチに座り、欠伸をして腕を天高く伸ばす。白狐たちは、お呼びでないことをわかっているのか、テーブルの下で休んでいた。


私はテーブルを挟んで向かいに座り、今にも面接が始まりそうな雰囲気に不安が押し寄せる。