「蓮さん、久々に悩殺フェロモンが発動してたよ。」

社内イベントが終わる頃には、外はすっかり夜になっていた。貸切バスから降りると私は早々と帰宅し、今は蓮さんの部屋で二人で晩酌をしているところだ。

「悩殺フェロモン?また訳わからない事を…。それよりも庶務課の中では、美織と高成が付き合っていると思われているのか?」

ビールを飲みながら、蓮さんはじぃっと私を見てくる。

「付き合ってないって否定するんだけど、何故か信じてもらえないんだよね。」

「何度美織と付き合っているのは俺だって言いかけたか…。」

「あっ…ヤキモチ?」

「うるさい。それよりも…美織は俺に説明する事があるんじゃないか?」

蓮さんはビールの入ったグラスを持って私の隣に座りなおし、ドS満載の笑顔で私の顔を覗き込んできた。

私はギクッと思いながらそろっと蓮さんから視線を逸らす。説明って私の彼氏がスタイル抜群の女性が好きってやつだよね。やっぱり覚えてたか。

「あっあのね。あれは私が妄想を呟いただけで話が広がっちゃって…。」

「へぇ…妄想って?」

蓮さんはテーブルに肘をつき、笑みを浮かべて詳しく聞いてくる。お酒のせいで妖艶な視線が私に向けられ、胸のドキドキが増してきた。

はぁ、ダメだ。もう全部話しちゃうか。

「蓮さんの周りにはスタイル抜群の綺麗な女性ばかりいて、蓮さんの中ではスタイル抜群の女性が普通なんだろうなって…だから、あの…クリスマスに私の身体を見て…幻滅したんじゃないかなって思ったの。」

「はぁ?」

私の話を聞いて、蓮さんは思いっきり呆れたような表情をした。