バーベキューが行われている広場から少し離れたところに小川が流れている場所を見つけた。周りには誰もいない。私は透き通った川の水を座り込んでで見つめる。

しばらくボーっと川の流れる様子を見ていると、後ろからパキッと小枝が折れる音が聞こえた。私はパッと振り向く。

「美織、こんな所で何してるんだ?」

振り向いた先には蓮さんがいた。小枝を踏みながら私の元へやってくる。

「蓮さん…。」

「美織が一人で歩いているのを見かけたから。一人で行動したら危ないぞ。」

「野菜切り係をクビになったから少し散歩してたの。蓮さんこそ早く戻らないと女の子達が騒ぎ始めるよ。」

可愛げのない言い方しちゃった。本当は蓮さんと会えて嬉しいのに。すると蓮さんは私の隣に座り込んで私の顔を覗き込んできた。

「もしかして…ヤキモチか?」

「ち、違っ。」

蓮さんは図星を突かれてあたふたしている私のほっぺにチュッとキスをしてきた。

「俺の愛を疑うな。帰ったらいっぱい可愛がってやるから。」

笑みを浮かべて言うと、私の頭をポンっとして蓮さんは立ち上がる。そして『早く戻れよ。』と言い残してみんなのいる元の場所へと戻っていった。

私ってやっぱり単純だな。蓮さんの一言でさっきまでのイライラが消えちゃったよ。

それより蓮さんは可愛がってやるからと言うけど、クリスマス以降キス以上の事をしてこないのは何故だろう。私の元彼の件もあったし仕方ないのかもしれないんだけど、良い雰囲気になってもキスだけで終わっちゃうのは少し寂しい気もする。

川に映る自分の姿を見ながら一回溜め息をついた。

そろそろみんなの所に戻らないと…私はスクッと立ち上がり、みんなのいる場所へと戻る。