「そろそろプレゼンの確認をして営業先行くぞ。」

「はい。じゃあまたね、お二人さん。」

「あっ待って高成さん。」

私は高成さんを呼び止めた。そしてポケットからミント飴を取り出して高成さんに渡す。

「緊張してる時はこの飴がいいですよ。」

「ミント味?ありがとう赤崎さん。」

私からミント飴を受け取った高成さんは、早速ミント飴を口に入れた。

「うわっ…何この飴。めっちゃスースーする。」

ミント飴が想像以上の刺激だったのか、高成さんは口に手を当て眉間にしわを寄せた。

「これ(スーパー)ミント飴なんですよ。刺激が強くてなんか頭の中スッキリしません?」

「はは、確かに緊張どころじゃないな。あーすっげぇ爽快感。舐め始めはビックリしたけど、いいねこの飴。」

私と高成さんは笑いながら話をする。すると珍しく蓮さんが話に入ってきた。

「赤崎さんいつもミント飴持ち歩いてるの?」

「はい。あっ平国主任も良かったらどうぞ。」

蓮さんにもミント飴を渡した。でも蓮さんって緊張とかしなさそうなイメージだな。

「私も美織からよく飴もらうけど、確かここに入社した時には、もうそのミント飴持ち歩いてたよね。」

「うん、学生時代から持ち歩いてる。緊張する時にはこの飴が一番だよ。」

私と裕香が話をしていると、蓮さんはミント飴を口に入れた。面白い反応するかなと思い、じぃっと蓮さんを見ていたけど全然普通だ。このミント飴でも、蓮さんのポーカーフェイスは崩せないか。

「…良い刺激だな。ありがとう赤崎さん。」

蓮さんは私に笑顔を見せると、高成さんを連れて仕事に戻った。

「やっぱり噂は本当だったか。もしかして、美織と付き合い始めたからかな。」

裕香は立ち去る蓮さんの姿を見ながら、さっきの話の続きに戻った。

「えっ私が雰囲気変えた?」

「悪い意味じゃないからね。前は駄々漏れしていたイケメンセレブオーラに女子はみんなやられたけど、最近はそれがなくなったって。だから今、玉の輿を狙ってみんな接近してるみたいよ。営業課女子はもちろん、広報課や秘書課の綺麗どころまで蓮様をロックオンしてる。」

「そうなの?知らなかった。」

玉の輿って蓮さんの御曹司疑惑はまだ続いてるんだ。私、改めて凄い人と付き合ってるんだと実感した。

「まぁ早く杉村さんの事、解決しなさいよ。」

「分かってる。」

私と裕香も庶務課に戻り、パソコンに向かって午後の仕事を始めた。