庶務課に戻って仕事をしていると、携帯にメッセージが届いた。蓮さんからだ。仕事中だけど内容が気になり、私は恐る恐るメッセージを開いて読んだ。

『昼休み、屋上で待ってる。』

返事どうしよう。蓮さんに会える嬉しさもあるが、やっぱり会うのが怖い。それに何を話していいかも分からない。

「その仕事、そんな考え込むほど難しい案件なの?」

私が難しい顔をしながら悩んでいると、周りの人達が気になったのか声をかけてきた。

「いや、あはは。」

私は苦笑いしながらごまかす。まさか仕事に関係ない事で悩んでいるとは言えない。

そして、結局返信しないまま昼の休憩の時間になった。

「返信しなかったし、蓮さん待ってないだろうな。」

そう思いながらも裕香に今日は食堂行かないと伝えて、私は屋上に向かった。

階段を上がり屋上が近づくと、何とも言えない不安と緊張が押し寄せてくる。私は屋上のドアの前で足を止め、ポケットからミント飴を取り出して口に入れた。

「よし、大丈夫。」

自分に言い聞かせてしっかりとドアノブを握る。そして大きく深呼吸をして心を落ち着かせた。

屋上に入ろうと決心したその時、ドアノブを握りしめる私の手を覆うように別の大きな手が私の手を握ってきた。

「そろそろ屋上出て話しようか。」

顔を後ろに向けると、ニィッと小悪魔的な笑みを浮かべている蓮さんがいた。

「れ、蓮さん。」

後ろにいるなんて全然気づかなかった。私はサーっと青ざめる。そしてしっかりと肩を掴まれ、屋上へと連行された。