昔を思い出しながら、私は座席の後ろにある窓に頭を寄せ、少しだけ頭を傾けて外の景色を見る。いつも見ている景色だけど、ボーっと同じ景色を見続けた。

そんな時、携帯のバイブがブルっと震える。取り出して見てみると、裕香からメッセージが届いていた。

『大丈夫?』

可愛らしいキャラクターのスタンプが私を心配そうに見ている。

『大丈夫だよ。杉村さんとは少し話して別れたから。でも疲れたから二次会はパスするね。』

『了解。ゆっくり休みなよ。』

裕香とのやりとりが終わり、またボーっとする。本当に疲れたなぁと思っていると、また携帯のバイブがブルっと震えた。

また裕香かなと思い携帯を見ると、今度は蓮さんからメッセージが届いた。

『今日、家に来るか?』

蓮さんからのメッセージを見た後、胸の奥がキューっと苦しくなった。

どうしようもないこの罪悪感…。不意打ちとはいえ、私は蓮さん以外の男性とキスしてしまった。でも、これは元彼と二人で会ってしまった私の不注意が招いてしまったこと。

『ごめんね。今日は疲れたので家に帰ってすぐ寝ます。』

蓮さんに返信する。本当は会いたかった。疲れてても会って一緒に居たかった。でも…会えないよ。

私は胸元に光る蓮さんから貰ったネックレスをぎゅっと握りしめ、必死に涙を堪えた。

『今どこにいる?』

蓮さんからまたメッセージが届く。

『今は電車の中。もうすぐ駅に着くよ。』

その後蓮さんからの返信はなかった。