「…あれ?」

目を冷まして隣を見ると蓮さんがいた。そして腕枕…私は温かいぬくもりに包まれながら夢じゃない嬉しさを感じた。

「起きたか?」

「ご、ごめんなさい。私寝ちゃってた?」

そっと蓮さんの顔を見ると、優しい表情で私の頭をポンポンっとしてきた。

「…イルミネーション、見に行けなくて悪かったな。明日の夜見に行くか?」

時間を確認すると0時を過ぎて日付が変わっていた。明日は朝から仕事だから今から出かけるわけには行けない。でも明日は…。

「…ごめん。明日は飲みに行く約束があって。」

「誰と?」

まさか男じゃないだろうな、と言わんばかりに蓮さんはジトーッと私を見る。

「庶務課の忘年会…だから男性もいます。」

「…それなら仕方ないか。あまり飲み過ぎるなよ。美織は酒が入ると可愛さが増すからな。」

「可愛さって何言って…。」

私が話し終わる前に蓮さんは私を名残惜しそうに抱きしめてくる。もう、この人はいつのまにか溺愛マスターになってるし。

ぐぅぅ。

蓮さんに抱きしめられている最中なのに、私のお腹は非情にも鳴り響いた。恥ずかし過ぎる…。そういえば今日の夜は何も食べてなかった。

「はは、美織のお腹は自由だな。何か作ってくるよ。何でもいいか?」

「…うん。」

顔を真っ赤にさせている私をよそに、蓮さんはベッドから降りて服を着ると、何故かもう一着シャツを持って私の前に持ってきた。

「これ着てリビングな。」

私がシャツを受け取ると、蓮さんはそのままキッチンへ向かった。

自分の着ていた服を畳み、渡されたシャツを着てみる。やっぱりサイズが違いすぎてダボっとして何かワンピースみたいになった。

「あっ蓮さんの匂いがする。」

シャツからする蓮さんの匂いに表情を緩まり、これが彼シャツってやつかと一人でにやけてしまった。