定時に仕事を終わらせて、奇跡的に予約が取れた美容室へ行った。それにしても美容室なんてしばらく行ってなかったからなんか緊張してしまう。

久しぶりに髪型を変えるとあってかなり悩んだけど、ロングの髪からミディアムボブまでカットしてもらい、ふるゆわパーマをかけた。そして仕上がりを鏡を見る。担当した美容師さんもお似合いですよと言ってくれたし私は満足した。

髪が短くなったので、外を歩いていると首元がスースーして寒さを感じた。時折、街中でショーウィンドウに映る自分を見ながら、髪型のチェックをする。

「クリスマスらしくケーキ買って帰ろうかな。」

帰る途中、ケーキ屋の前に立ち止まる。美味しそうなケーキも残りわずかとなっていて買おうかどうか悩む。

「…そういえば蓮さん、ケーキ好きなのかな。」

甘いものが苦手な男性もいるし、蓮さんはどうなのかな。…私もまだまだ蓮さんの事知らないな。

結局何も買わずに一旦自分の部屋に帰り、着替えと化粧直しをして蓮さんの部屋に行った。携帯で時間を確認したらもう20時前になっている。

「蓮さんはお見合い中かぁ。あのキラキラした王子様スマイルで社長令嬢と楽しく話してるのかな。」

油断するとお見合いの事を考えてしまう。楽しい事考えなきゃ。えっと…イルミネーション楽しみだな。私は一人で気分を上げては気分が下がり…というのを繰り返していた。

お見合いは19時からって言ってたからそろそろ帰ってくる頃かな。ソワソワしながら待つけど、21時を過ぎても蓮さんは帰って来ない。

まさか社長令嬢とのお見合いが盛り上がって…いやいや違う、違うよね蓮さん。私は首を横に振りながら必死に否定する。

早く帰ってきて…。

私は泣きそうになりながら蓮さんの帰りを待った。