そして本当なら楽しみでしょうがないはずの24日…クリスマスイヴがやってきた。天気予報を見たけど、今日は一日晴れらしい。ホワイトクリスマスもいいなぁと思っていたけど、天気ばかりはどうしようも出来ないか。

ピンポーン…

私が仕事に行く準備をしていると、呼び鈴が鳴る。はーいと返事しながら玄関のドアを開けると、出社前のスーツを着た蓮さんが立っていた。

「おはよう。朝から悪いな。」

「おはよう。全然いいけど…どうしたの？」

すると蓮さんは私の手を取り何かを渡してきた。見ると手のひらには鍵が乗っていた。

「俺の部屋の鍵。俺が帰ってきたらすぐにイルミネーション見に行けるように、支度して俺の部屋で待ってろよ。」

「…うん、分かった。」

私は渡された鍵をぎゅっと握りしめて笑顔で返事する。そんな私を見た蓮さんも微笑んでいた。

「じゃあ先に会社行く。」

そう言って背中を向けて少し歩いたかと思ったら、また私の元へ戻ってきた。

「忘れ物。」

忘れ物？何のことかと思っていると、蓮さんの唇が自然と私の唇に重なった。

「行ってきます。」

唇が離れると、そう言って今度こそ仕事に向かった。私はしばらく顔を赤くしてボーっと玄関に立っていた。

「い、いけない。仕事の準備しなきゃ。」

キスの余韻を感じながらも、私は急いで仕事に行く準備をした。