「…雰囲気壊すようで悪いけど、酒も飲んでるし理性が崩れそうなんだけど。」

私はハッと我に帰り、慌てて蓮さんから離れた。

「そんなに勢いよく離れられると傷つくなぁ。」

「だ、だって。」

「冗談。やっといつもの美織に戻った。」

蓮さんは微笑んで私の頭にポンと手を置いた。

「そういや美織の部屋に入ったの初めてだな。」

そう言って部屋をキョロキョロし始める。

「あんまり見ないで。」

「正直、女性の部屋ってもっと色々可愛らしい物が溢れているイメージだったけど…。」

シンプルで殺風景な私の部屋を見ながら話す。

「どうせ家には自分一人しか居ないし、物が溢れていると掃除が面倒そうだし、男の人を部屋に入れる予定もなかったから、生活に必要な物しか置いてないです。」

私は膨れっ面で言う。まぁただの言い訳なんだけどね。

「はは、美織らしいな。」

蓮さんは笑いながら私を見た。

「話を戻すけど、お見合いっていつなの?」

「あ…あぁ、実は24日の夜なんだ。」

「え!?24日?」

クリスマスイヴ…イルミネーションを見に行く日かぁ。しかも社長令嬢も絶対イヴを蓮さんと過ごしたくてお見合いを入れたな。私はまたテンションが下がる。

「早めに切り上げて帰ってくるから、イルミネーション見に行こうな。」

「…うん。」

今は何も考えず蓮さんを信じていよう。