私達はテーブルを挟んでかしこまったように座る。

「話の続きを聞いてもいい?」

「…俺が見合い話を断った後、社長が先方に断りの電話をかけてくれたらしいんだ。見合いの事でって相手に伝えた途端、向こうのテンションが上がって見合いを断るタイミングを失ってしまったらしく、気がつけば見合いの日にちや時間、場所まで決まっていた…と言われた。」

話終わった蓮さんは深いため息をつく。

「お見合いするの?」

「見合いする気は無い。だから俺から直接断ろうと思ったけど、社長の立場もあるしと課長に止められた。」

そうだよね。大企業の社長令嬢とのお見合いとなると、蓮さんだけの問題じゃないのかも。

「でも何で大企業の社長令嬢が蓮さんとお見合いするの?」

「下沢財閥の子会社が俺の営業担当している会社で、そこに見合いする社長令嬢が勤務しているんだ。直接話をした事はないけど、俺も顔は知っている。今回の見合い話はその令嬢きっての希望らしいが何で俺を選んだんだろうな。」

蓮さんみたいなイケメンだったら社長令嬢も興味持っちゃうよ。はぁ、私は蓮さんになんて言ったらいいんだろう。本当はお見合いなんて行って欲しくないけど…。

「お見合い…行った方がいいよ。下手に断ったら出世とかにも響いちゃうかもよ。」

「俺は見合い一つで左右される出世なんかどうでもいい。」

「でもちゃんと相手の方と会って話をして、それから…やっぱり社長令嬢より私の方がいいって確認してきて…。」

「美織…。」

蓮さんは私の隣に来てぎゅっと抱きしめてくれた。私も蓮さんにぎゅっと抱きつく。

「俺は美織が好きだ。この気持ちはずっと変わらないから。」

私を抱きしめながら言ってくれた蓮さんに、嬉しくて泣きそうになり私は彼の胸の中で頷く事しか出来なかった。