「おみくじ引けなくて残念だったなぁ。あっでも逆に良かったかも。何か凶とか引きそうだし。」

私は苦笑いしながら話す。新年早々、騒動に巻き込まれてしまい残念な年始になったし、今年はあまりついてない年になりそうな予感がした。

「…美織は大吉の一択だろ。」

「大吉?何で?」

「美織は俺が幸せにするから。」

蓮さんは自信たっぷりの笑顔で私を見つめる。だから何でこの人はプロポーズみたいな事をサラッと言うかな。

「そんな事言うと…か、勘違いしちゃうよ、私。」

恥ずかしいのでプィっと蓮さんと反対の方を見た。すると蓮さんの大きな手が私の頭にポンっと乗ってくる。

「勘違いしとけ。…それにしてもこれからは会社でも普通に美織と話が出来るな。」

そうだった。会社の人にバレちゃったし普通に話が出来る…んっ?普通…普通ってどんなふうだっけ。

そっと蓮さんの顔を見上げる。目が合った蓮さんはどうした?と言うような顔をした。

「…会社で溺愛はやめてね?」

「そうは言っても普段も溺愛してるつもりはないからなぁ。そう言えば新年の挨拶がまだだったな。今年も…いやこれからもずっとよろしく、な。」

蓮さんが極上の笑顔を見せる。外は夜で暗いけど、蓮さんの笑顔は眩しいくらい輝いていた。極上の笑顔に悩殺された私は胸をドキドキさせる。私はこんなに幸せで良いのだろうか。

それよりも…この極上の笑顔を会社でもするの?いや無理無理無理、嬉しいけど溺愛なんてされたらドキドキし過ぎて私…爆発しちゃうよ。

赤崎美織、昨日までは良いと思っていたけど、前言撤回させていただきます。


溺愛なんてされるものではありません!


 ー END ー