食事を終え、ドリンクバーの飲み物を前に、紗江の主婦生活を興味津々で聞いてる遊佐。思わないところでいきなり紗江にツッコまれちゃ、たじたじの榊。
話は尽きなかったけど、2時間近く長居したところで『初詣に行こう』と遊佐が腰を上げた。




三元日のラストとは言っても大きな神社はまだ人出がすごいだろうし、車椅子の移動を考えて、そこそこの御利益が期待できそうな中ぐらいの神社をテキトーに目指す。
どのへんが適当かって言うと。車を流して良さげなのがあれば、っていう行き当たりばったりなトコ? もちろん、紗江の実家方面に向かってっていう目的地はちゃんとあるけど。

地元ならナビができるからって、紗江は自分から進んで助手席に。
あたしはいつもの二列目シートに。遊佐がすぐさま、手を恋人繋ぎする。そういうのは昔から誰の前でもカンケイないんだよね、あんたは。

「宮子」

「ん?」

呼ばれて横を振り向いた途端、キスまで盗まれた。・・・さすがにそれは気恥ずかしいったら! 焦って紗江を見やると、榊になにか話しかけてた。

「・・・足んない」

キレイな顔が寄ってきて後ろ頭が捕まえられる。
啄んでは離れ、目が合えばまた啄まれる。

「アイシテル・・・」

耳許で甘く囁かれて、座ってるのに腰砕けになりそうになった。
・・・ちょっと待って、ナニ変なスイッチ入れちゃってんのよ~~っ。羞恥にまみれながらも、上目遣いに涙目で抗議の視線を送ると。

「だって紗江にオレが宮子一筋だって、証明しないとさ」


なんかすっごい企み顔で微笑んでる悪魔が。
なんの仕返し?! 誰への仕返しよーッ?