多香子は机の上の水をぐいっと飲み干した。

そしてベッドに横になる。



『俺、もう長くは生きられないかもしれない』
慶輔の言葉を今でも思いだす。すべてに絶望しながらも切なく微笑み多香子を見つめながら、慶輔は多香子に言った。
『俺、多香子ちゃんが好きだったよ。』
『え?』
『この気持ちは言わないつもりだったんだけどさ、俺死んじゃうかもしれないから。最期の恋くらいちゃんと気持ち伝えたかったからさ。』
『・・・』
『死んじゃうかもしれないのにそういうこと言うなって感じだよな。でも、俺・・・死ぬのかな・・・本当に・・・』
そう言って顔を片手で覆い涙する慶輔を多香子は抱きしめずにはいられなかった。