「あんたに何がわかるって言うの!?」
「う……っ」
苦しくて涙目になりながら、木内さんの手を振り払う。
お互い様だと思った。
先にわたしの想いをからかったのは、彼女の方なんだから。
「……聡とは、そんなんじゃないし」
「わたしだってそうです」
「とにかく、篤はダメだからっ」
鋭くわたしを睨むと、木内さんはひとりトイレを出て行った。
嵐が去っていったあとのような静けさに包まれ、ため息をつく。
わたしもすぐに行かないと、HRが始まってしまう。
少しむせながら教室へと急いだら、その教室の前の廊下で木内さんがちょうど、平くんに声をかけていた。
たしに向けていた表情とは180度ちがう、きれいで可愛らしい、恋する女のコの笑顔で。