「あ……」
そうだ。
確かに木内さんは言っていた。
受験が終わったら付き合うことにしようって、平くんに言われたと。
そうか。木内さん合格したんだ。
そうなんだ……。
木内さんが落ちていたら良かったのに。
なんて、一瞬でも考えた自分にゾッとした。
いくら平くんを好きだからって、そんな風に思うなんてどうかしてる。
そう思うのに、ふつふつと湧きあがる黒い感情に埋めつくされそうだった。
恋をしてからずっとこうだ。
心も体も、自分で自分をうまくコントロールできない。
「聡が好きならそっちに行ってよ。篤を代わりにしないでさ」
「聡くんのことは、もう好きとかじゃないです」