「あんた、1年の時、聡のことが好きだったんだって?」
責めるような目に顔をのぞきこまれて、思わず後ずさる。
木内さんの目力に圧倒されてしまった。
「……だったら、何だって言うんですか?」
「否定しないの? 本当なんだ。ふーん」
木内さんは頬に手を当てて何かを考える仕草をする。
どんなポーズをとってもきれいで様になる人だ。
でもそれよりいまは、次に彼女が何を言い出すのかこわかった。
「じゃあさ、もう篤に近づかないでよ」
紅い唇でにんまり笑った木内さん。
わたしはすぐには言われたことを理解できなくて、何度も瞬きした。
「え……え?」
「言ったよね? 受験が終わったらわたしたち付き合うんだって。わたしは当然合格したし、篤もいつの間にか合格してたみたいだし?」