杏ちゃんの声がデカいから、志木さんにも会話は丸聞こえ

「杏様、帰ってくるまで起きてますよ」

「え?」

「あの人はそう言う人です」


とりあえず今日は帰りましょう。そう言ってパソコンを畳んだ志木さんに、杏ちゃんの家まで送ってもらうことに…

志木さんは、時間差で家に行きますと言った。きっと一緒に帰ると、何していたかと問い詰められるから。

杏ちゃんには、あの男のことを少しでいいから忘れて欲しい。
だって怖いもん

同じマンションに自分のことを監視してる男がいるなんて


俺たちに任せてくれるなら、頑張るから



「慧さんも、杏様が好きなんですよね」

「え?あ、はい」


突然話が変わり戸惑う
志木さんとこの手の話をしたくない…
だって志木さんの目、笑ってないもんなー


「あなた、関係のある女の人がいっぱい居るはずでは?杏様もその中の1人ですか?」

「ちがうよ…杏ちゃんは違う。でももしかしたら、泉や朔が杏ちゃんに向ける気持ちと、少し違うかも知れませんけど」


最初からそれは思ってた

泉が好きな、杏ちゃんが好きだから