「・・・・・・えっ?今なんて?」
「だからー、俺好きなやつできたかもって言ったの!!」
もーちゃんときいてろよなーなんて怒るのは、私の向かいに座る幼なじみ。
そんな彼の様子なんて私には関係ない。
「好きな人できたって・・・・・・。あ、あのはじめにーー!?!?」
「そう!できたの!ってかそんな驚くことかよ」
「当たり前じゃない!小さい時から女の子なんて眼中に無いあんたが、好きなやつできたって言われたら驚くに決まってるでしょーが!!」
「そーかー?」
「そーよ!!」
無駄にルックスだけいいこの幼なじみは小中高とバレンタインや誕生日には1人でも持って帰れないほどのプレゼントを貰っていた。
もちろん告白だって沢山されているのを私は知っている。
なのに生まれて17年間誰とも付き合わず、もはやこいつ男のことが好きなんじゃないかと最近思っていたほどだ。
そんなこいつに好きなやつができたなんて言われたら驚くのも当然である。
「・・・・・・念の為聞くけど」
「んあ?ふぁひぃ?」
なんであんたから落とした爆弾でダメージ受けてる私を置いてハンバーガーがっついてんのよ!
そう言いたかったがここはぐっと堪えて聞きたった事をきく。
「相手はもちろん女の子よね・・・・・・??」
「・・・・・・。」
えっ、なんで無言になる!?
まさか、まさかね・・・・・・??
慌てる私を見て、もぐもぐしながらニヤリと笑う目の前のこいつ。
なんだろ、ぶん殴りたくなるな・・・・・・。
「んなわけねーじゃん」
「よかったー・・・・・・。黙るからまじなのかと思ったじゃんか!」
「ごめん、ごめん笑じょーだんだって笑」
「もーやめてよねー?」
なんておどけたように言うけれど、私の心は穏やかではなかった。
よくあるお話のように、私だって小さい時からずっと一緒の幼なじみだったあいつの事を好きにならないはずがない。
それでもこの思いを伝えなかったのは、あいつが今まで好きな人がいなかったからだ。
「はあ・・・・・・」
わたしは自分の部屋のベットに横たわりため息をついた。
あの後夕飯前だというのに、ハンバーガーを3つも食べて満足気な様子のあいつとは反対に私の気持ちはどんどん沈んでいってしまった。
どうしたー?悪いもんでも食べたかー?なんて笑いながら言うあいつにイラッとしたのは多分気のせいではない。
家に帰ってからもずっとイライラが収まらない。
これはあいつにでは無く自分自身にイラついているのだ。