「東京の○○大学に通っていたけど、



今は、アメリカの大学に留学という形をとって。


二年前から、


葛西コンツェルンのロスの支社で



働いているんだって。



ちなみに、うちの社長も大学生の頃、



アメリカに留学して、



その間に市場を大幅に開拓したらしいよ」



まきちゃんが検索した画面を見つめながら、



さとみに言う。



私ってほんと何も知らない。



すごいな。



やっぱり、社長も社長の周りの人も、



世界が、違う。



「『将来は社長の右腕となるべく、邁進中。』



とかなっているけど、



でも実際は、葛西コンツェルンって



実力主義でしょ?



兄弟とか親戚とか、近い血筋の人たちって、



社長と競っているらしいよ。」



さとみは箸をとめたまま、 



マキちゃんの話の続きを聞いている。



「競う?」



「そう。社長の座をめぐって、



ってことでしょ。




骨肉の争いってやつだよねー。



まあ、今のところ



うちの社長が継ぐだろうけど。



だって、ちょっとすごいもんね。



まず負けないでしょ。うちの社長」



マキちゃんが笑う。



そうなんだ。



兄弟でも競いあうのか。



あの弟さんと社長。



それって、すごくシビア。