ドカ。



さすが社長の弟さん



と納得するくらい、



ふんぞり返って




リビングのソファに座る駿に、



さとみは説明する。



「あの、私は社長の会社の社員で…。



私はただ。



ちょっと事情があって



居候させてもらっているだけで、



そんな社長と一緒に住んでいるっていうのとは、



ちょっと違って」



「付き合っているとかではなくて」




さとみが伝えるあいだも、



駿はさとみを、ジロジロ観察している。




もこもこのパーカーにジーパン。



その上からエプロン姿のさとみ。



「ほんと意外。兄貴趣味変わったな」



また、笑って駿が言う。



だーかーらー。




「ほんとに違うんです。



わたしは住まわせてもらっているだけで」



「社長に助けてもらっているんです」




弟さんにどこまで言っていいのかな。




嘘ついたらダメだし。 




借金とか、期間限定のこと、



とか言っちゃいけないよね。




「兄貴が?



自分の家に、女でもない子を?



ありえない」



駿がきっぱり言い切る。




えーん。どうしよう。




契約のこと言うわけにもいかないのにー。