トイレで、手を洗うさとみ。




ピカピカの内装。




トイレも桁違いに




綺麗な高級レストラン。




何か、何だろう。




よくわからないことになってきた。




さとみは鏡の中の自分を見つめる。




社長の弟さん。




どういうつもりなんだろう。



 
ただ、からかっている…。




という雰囲気でもないんだよね。




すごく真剣な顔で言うから…






社長の弟さんって、きっと




私じゃなくて




……。







やっぱり、社長に知らせた方がいいのかな。




廊下で勇気をだしてコールする。




プルルルル。




「もしもし」




ドキ。




低くて、ちょっとかすれた




社長のかっこいい声だ。




「あ、あのさとみです」





「…どうした」




「あの、実は今、




社長の弟さんと一緒にいて」




「は?



どういうことだ」




「えっと。




この前家に来て。

 


それで、誤解されたみたいで。




今一緒にごはんを」




「あっ」


 
さとみの手から携帯が奪い取られた。


 

すぐ後ろに駿が立っている。




「もしもし」




駿の手の中で社長の声。




「今頃、兄貴にSOS?



遅いんじゃない?」




駿がさとみを鋭い瞳で見つめたまま、




携帯をきった。