「それで、兄貴はあんたといるとき
どんななの。
家でもあの調子で、
びしっとしているわけ?
それとも甘えたりするわけ?」
駿が、グラスワインを一口飲んで
笑って言った。
「そんな、甘えたりなんか。
どっちかっていうと、
家でもびしっとされていて」
さとみが顔の前で手を振る。
「あ、でも。
社長って、つむじの髪の毛がこう、
ぴょんってはねるみたいで。
いつも、直しているみたいなんですけど、
それでも、よくこうぴょんって」
駿が笑う。
「思い出した。
そういや昔、よくはねてた。
こんな感じだろ。
ぴょんって」
手を頭の後ろに持ってきて、
ジェスチャーつきで、駿が言う。
「なつかしいな」
どこか遠い目の駿。